Home
Topics
【ファウンダーインタビュー】スタートアップビザで日本での起業を実現。SSSと歩んだLogistical創業ストーリー
16.10.2026
Interview

【ファウンダーインタビュー】スタートアップビザで日本での起業を実現。SSSと歩んだLogistical創業ストーリー

日本の物流業界では、トラックドライバー不足や配送需要の増加を背景に、物流の効率化が大きな課題となっています。こうした課題に対し、トラックの「空きスペース」に着目して解決に取り組んでいるのが、株式会社Logisticalです。

同社は、トラックの空きスペースをリアルタイムで把握できる「容積検知システム」を提供しています。さらに、取得した空きスペースの情報を他の物流会社と共有することで、複数の物流会社がトラックの空きスペースを有効活用できる仕組みを構築しています。トラックの積載率を高めることで、物流業界の人手不足や配送の非効率化といった課題の解決を目指しています。

今回は、株式会社Logisticalの創業者、シャフボズ(シャハ)・ハイルリロエフ氏にお話を伺いました。現在の事業アイデアに至った経緯や、外国人起業家としてのビザ取得、そして起業から事業成長まで、Shibuya Startup Support(以下、SSS)による支援について語っていただきました。

「自分が解決しなければ」物流業界の課題から生まれた起業への想い

‍

株式会社Logistical 創業者兼CEO シャフボズ(シャハ)・ハイルリロエフ氏氏 (写真:渋谷区)

‍

―まず、シャハさんの自己紹介と、どのような事業をされているのか教えてください。

シャハ氏:
シャハと申します。ウズベキスタン出身で、日本で暮らし始めて今年で7年目です。

共同創業者のNavtej Dhotとともに、2024年9月に株式会社Logisticalを創業しました。

Logisticalでは、日本の物流業界が抱えるトラックの積載スペースの未活用という課題の解決に取り組んでいます。

現在、日本のトラックの平均的な積載率は40%以下の低い水準で推移しています。つまり、多くのトラックが半分以上空いた状態で走っていることになります。

そこでLogisticalは、トラックの空きスペースを把握できる容積検知システムを提供し、その情報を他の物流会社と共有できる仕組みを構築しています。

例えば、同じ場所に荷物を届ける2社があり、一方のトラックが40%、もう一方が60%しか埋まっていないとします。これまでは別々に配送していたものを、私たちのプラットフォームを使うことで、1台のトラックにまとめて配送できるようになります。

これにより、物流コストを削減するとともに、トラックドライバー不足の解消や業務効率の向上を目指しています。

‍

―なぜ物流という分野に興味を持ったのでしょうか?

シャハ氏:
Logisticalを始める前に、日本に住む外国人の引っ越しをサポートするプロジェクトを行っていたことが、物流に興味を持ったきっかけです。

外国人にとって、日本の引っ越しサービスを利用するのは簡単ではありません。サービスの多くが日本語で提供されていて、追加費用も多く、海外よりも日本の引越しサービスの料金が高いからです。

そこで、引っ越しをしたい人と、個人でトラックを所有しているフリーランスのドライバーをマッチングするプラットフォームを作り、運営していました。

このプロジェクトを進める中で、物流会社や引っ越し会社の方と話す機会があり、物流業界に非常に大きな問題があることを知りました。

私は、スタートアップは大きな問題を解決するために存在するものだと考えています。この問題を知ったとき、「自分が解決しなければ」と思いました。同時に、これを解決できれば、スタートアップとして大きな事業を作れる可能性があるとも感じました。

‍

―なぜ日本で、そしてなぜ東京・渋谷で起業されたのか教えてください。

シャハ氏:
大学生のときに来日し、日本の大学に進学しました。

大学卒業後は、一般企業への就職は考えていませんでした。子どもの頃から、いつか自分でビジネスを立ち上げたいと思っていたからです。

大学4年生のときに、「JVA(Japan Venture Academy)」という起業に関心のある大学生・留学生向けの交流プログラムに参加しました。そこでスタートアップについて学び、先ほどお話ししたプロジェクトも、このプログラムの活動を通して生まれたものです。

その後、JVAが渋谷区から支援を受けていることを知り、同じく渋谷区から支援を受けているSSSにつながりました。そこでスタートアップビザの取得や、日本での起業に興味を持ちました。

SSSに応募した当時は、現在の事業とは異なり、B2Cのマッチングプラットフォームに近いアイデアでしたが、物流業界について深く学んでいく中で、B2Bのサービスにピボットしていきました。

もともと大学進学のために来日しましたが、日本の文化がとても好きですし、生活の質も非常に高いと感じています。

もちろん、大学卒業後にウズベキスタンへ戻ることもできましたが、日本で解決したい物流の重要な問題を見つけたため、日本でスタートアップを立ち上げることを決めました。解決すべき問題がなければ、そもそもスタートアップを始める意味はないと思っています。

‍

‍

SSSの起業・ビザ支援制度を活用し、日本での起業を実現

‍

写真:渋谷区

‍

―現在のビザの状況について教えてください。

シャハ氏:
2023年にスタートアップビザを取得し、その翌年には経営・管理ビザに切り替えました。その際にも、SSSからたくさんの支援を受けました。

具体的には、会社設立や銀行口座の開設をサポートしていただき、経営・管理ビザの申請に必要な手続きを行うことができました。

‍

―経営・管理ビザを申請する際に、何か苦労したことはありましたか?

シャハ氏:
当時は、現在ほど難しくはなかったと思います。ただ、もしSSSのプログラムに参加していなかったら、もっと苦労していたと思います。

会社を設立することだけでなく、銀行口座の開設も大変に感じていました。しかしSSSによるそういった手続きの支援によって、事業の土台を作ることができました。

また、同じようにビザの取得を目指す起業家や銀行など、申請に関する情報を得られるさまざまな人や機関とのつながりも提供してくれました。

‍

SusHi Tech 2026でのトークセッション登壇の様子(写真:渋谷区)

‍

‍

SSSのハンズオン支援:会社設立から事業成長まで

―メンタリングやネットワーキング、ビジネスサポートなど、SSSのどのような支援が特に役立ったと感じていますか?

シャハ氏:
まず、大学を卒業したばかりで、経験も経済的な余裕もなかった自分でも、SSSによる全面的なサポートで起業に挑戦できたことは大きかったです。それから、政府によるバックアップがあることも、事業を始める上で安心感につながりました。

また私はSSSのネットワークを最も活用している人の一人だと思います。事業成長に必要な人とのつながりを紹介していただけることは、私にとってとても大きな支えになっています。

より細やかなサポートも印象に残っています。起業したばかりの頃は、メールの書き方や会議での振る舞い方など、日本でビジネスをする上で分からないことがたくさんありました。その際、SSSで働いていた方がメールの書き方を丁寧に教えてくださったり、何度か一緒にビジネスミーティングに参加してくださったりしました。大学を卒業したばかりで、ビジネスの基礎について何も分からなかった私にとって、とても心強いサポートでした。

‍

‍―ミーティングへの同席のような、かなり実践的なサポートも含まれていたんですね。

シャハ氏:
そうですね。「これを手伝ってもらえますか?」「これについてもサポートしてもらえますか?」という風に、分からないことがあれば自分から積極的に相談していました。他のファウンダーと比べると、私の場合は大学を卒業してすぐに起業したので、一からビジネスの進め方を学ぶ必要がありました。

‍

‍

日本でのB2B営業に感じた壁と、起業して気づいた日本の強み

‍

(写真:渋谷区)

‍

―日本で事業を立ち上げていく中で、一番大きな課題は何でしたか?

シャハ氏:
正直、一番難しいのは営業でした。

日本のビジネス文化に馴染みのない外国人にとっては、日本でのB2B営業は一つ一つの手続きやクライアントの意思決定に時間を要すると感じるでしょう。

単純な「営業テクニック」を習得するというより、日本ではどういうコミュニケーションの進め方をすればいいのかを理解することが重要です。

基本的には長期的な関係を築きながら進めていくものなので、クライアント候補のスピード感に合わせて調整することが求められるでしょう。

‍

―逆に、想像以上に良かったことはありますか?

シャハ氏:
「
日本は行政手続きや官僚主義が大変だ」とよく言われますが、正直、私はそれほど大変だとは思いません。他の国では、もっと深刻なケースも多いと思います。

例えば、ドイツやイタリア、フランスなどでは、会社設立やさまざまな行政手続きについて、「本当に手続きが進むのか」「いつ終わるのか」が分からず、その後のフローや結果が予測できないこともあります。

日本の場合、必要な手続きをきちんと行えば、時間はかかっても基本的には進みます。

必要なことをきちんとやれば、最終的には物事が進む。これは、日本で起業する前には想像していなかった良い点でした。

‍

―今後、日本でどのように事業を成長させていきたいですか?

シャハ氏:
現在は、シードラウンドの資金調達を進めています。資金調達ができれば、チームを拡大し、事業を成長させるための体制を強化し、顧客獲得につなげたいと考えています。

‍

―将来的に、日本以外でも事業を展開することを考えていますか?

シャハ氏:
はい、それは計画の一つです。同じような物流の問題は日本だけでなく、他の国でも起きているからです。

ただ、現時点では日本に集中して、まずは国内でしっかりと顧客基盤を作りたいです。その基盤ができたら、1〜2年後くらいから、北米やアジアを含む新しい市場への展開を始めたいと考えています。

‍

―最後に、これからSSSを通して起業したい方や、渋谷・日本で起業したい方に向けて、メッセージやアドバイスがあればお願いします。

シャハ氏:
2つに分けてお伝えしたいと思います。

まず、私のようにB2Bのスタートアップを立ち上げる方には、日本のビジネス文化や営業の進め方について、しっかり学ぶことをおすすめします。また、すぐに結果が出ることを期待するのではなく、長期的な視点で事業を成長させていくことを意識した方が良いでしょう。

そして、これから日本で起業しようと考えている方に伝えたいのは、日本にはたくさんのチャンスがあるということです。

もちろん、日本ならではの難しさもあります。そのため、日本でスタートアップを始めるのであれば、決して簡単ではないということは覚えておいた方がいいと思います。

ただ、本気で取り組んで事業を形にすることができれば、日本には本当に大きな可能性があります。

‍

ー渋谷での創業エピソードや、外国人起業家として感じた日本のビジネスカルチャー、そしてSSSの支援について、詳しくお話しいただきありがとうございました。

‍

取材・文/Keito Okabe 構成/SHIBUYA STARTUP SUPPORT PRチーム

‍

Shibuya Startup Support:https://shibuya-startup-support.jp/
Shibuya Startup Support 
LinkedIn:https://www.linkedin.com/company/shibuya-startup-support/
Facebook:https://www.facebook.com/shibuya.startup.support
X(旧Twitter):http://twitter.com/ShibuyaStartup

‍

GO BACK