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フィル・リビン、渋谷市に本社を置くEvernoteの元CEOによるカジュアルな対談
08.02.2024
EventReport

フィル・リビン、渋谷市に本社を置くEvernoteの元CEOによるカジュアルな対談

11月9日、渋谷スタートアップスのCEOである渡部志保は、著名な起業家であり、Evernoteの元CEO、All Turtlesとmmhmmの共同創業者兼CEOであるフィル・リビン氏と、渋谷ファイアサイドチャットを開催しました。渋谷区とオール・タートルズが共催したこのファイアサイド・チャットは、渋谷区のスタートアップ支援プロジェクト「渋谷スタートアップサポート」の拠点である渋谷ブリッジで開催されました。参加者は予想を大幅に上回り、予定時間を大幅に超過する盛況ぶりでした。議論のテーマには、渋谷の独自の文化、生成AI、仕事の未来、そして「文化のスケール化」に関する洞察などが含まれました。イベント後、私たちはShiho Watabe氏とポストイベントのディスカッションを行う機会を得ました。

渡部志保(写真:渋谷スタートアップス)

渡部志保

渡部志保は、Google、Mercari、Morgan Stanley、および世界中の数多くのスタートアップでの経験を生かし、渋谷区における国際的なスタートアップの育成に情熱を注いでいます。2021年から渋谷区へのアドバイザリーを務め、2023年2月から現在の役職に就いています。現在のプロジェクトは、渋谷のUPプログラムを主導しています。

UP by Shibuya、渋谷市のグローバルアクセラレーター

シホさん、UP by Shibuya Startupsについて、そしてグローバルな早期段階のスタートアップを支援する仕組みについて詳しく教えていただけますか?

UPは、渋谷区役所、GMOインターネットグループ、東急株式会社、東急不動産株式会社の支援を受ける渋谷スタートアップズが運営するスタートアップ加速プログラムです。私たちは、早期段階のスタートアップのGo-to-Market戦略と成長支援に専念しています。2023年8月以降、約20社のグローバルスタートアップに対し、コンセプト検証、パートナーシップ、戦略コンサルティング、採用支援、PRなど多岐にわたる支援を提供してきました。

日本の強みを活かし、グローバルなニッチ市場に挑戦

プログラムは具体的にどの分野に焦点を当てていますか?

UPプログラムは、国内・国際のスタートアップを幅広く支援しています。日本の独自の強みを活かし、高齢化社会、アニメ/ゲームIP、災害対策、観光、食文化、ファッション/ストリート文化など、多様な分野をカバーしています。その目的は、スタートアップが「グローバルニッチ」市場セグメントを特定し、日本からグローバル規模の課題に取り組むことを支援することです。

渡部志保(シブヤ・スタートアップスCEO)(写真:村上拓太)

公的機関と民間企業が連携したハイブリッド型アクセラレーターとして、女性起業家が50%を超える独自のポジションを確立

このプログラムの他のプログラムとの違いは何ですか?

UPプログラムでは、起業家の50%以上が女性であり、他のスタートアップアクセラレーションプログラムと比べて著しく高い割合となっています。これは、ケア経済とファンダム経済における女性の顕著な存在感と関連しています。例えば、介護従事者の約75%が女性、保育従事者の約98%が女性であり、日本では「パトロン経済」の約85%が女性によって支えられています。性別バランスを維持することは挑戦的であり、男性創業者の割合が上昇する可能性もありますが、私たちは女性創業者の支援を継続していきます。

さらに、私たちは渋谷区のスタートアップ支援プログラム(ビザ取得支援、銀行口座開設支援、コワーキングスペース提供など)との密接な連携により、独自の立場にあります。

日本のレジリエンス、慈愛、強靭さ:シリコンバレーの活気との対比における永遠の魅力を

フィルとの会話で、日本の独自性について触れられ、レジリエンスが日本の強みとして浮上しました。その点について詳しくお聞かせいただけますか?

日本の精神を1つの言葉で表すなら「レジリエンス」です。レジリエンスは、シリコンバレーとよく結びつけられる「速く動いて、失敗を恐れず、革新する」というスローガンとは対照的です。

私自身の1995年の阪神・淡路大震災での経験が、この観察を確固たるものにしました。午前中の地震は恐ろしいマグニチュード8を記録し、神戸を廃墟と化しました。街を眺めた時、私を襲った思いは「一夜にして全てを失った」でした。しかし、瓦礫の中、別の光景が浮かび上がりました。コミュニティの驚くべきレジリエンスです。家や生活必需品を失ったにもかかわらず、人々は団結しました。パニックに代わって忍耐が生まれ、レジのないコンビニの前で必要な物を買うために列を成す住民たち。見知らぬ人が公衆電話にコインを残し、他人が電話をかけられるようにする光景。混乱に代わって冷静な決意が浮かび上がり、日本文化に深く根付いたレジリエンスが示されました。

では、この経験はスタートアップやビジネスにどう関連するのでしょうか?地震は残酷ながらも貴重な教訓を教えてくれました:真の強さは、課題を迅速に克服することではなく、団結と共感、揺るぎない精神でそれらを乗り越えることにあるのです。レジリエンスは単に嵐を耐え抜くことではなく、再建し、進化し、より強くなって現れることなのです。

また、粘り強さ(核心を失わないこと)は、困難な時代におけるアジリティと成功したピボットへの道筋となります。これらの特性は、変化する状況に適応するために不可欠です。私の願いは、UP企業が起業家としての旅において、日本のレジリエンスの精神を体現することです。

渋谷スタートアップズのCEO、渡部志保と、エバーノート元CEOのフィル・リビン(写真:村上拓太)

グローバルなニッチ市場で存在感を確立する

現在の市場変革を、資金調達の容易さから挑戦の増大へと移行する中で、どのように捉えていますか?

近年、業界では『ブリッツスケーリング』に大きな注目が集まってきました。しかし、重要なのは単に大規模な成長を達成することではなく、コアユーザーとの真のつながりを築き、彼らのニーズを深く理解し満たすことにあります。 ターゲット層(できればグローバルなニッチ市場で、特定の国に縛られない)に意味のある価値を浸透させることは、持続可能なアプローチであり、長期的な影響と遺産を残すことを意味します。

渋谷へようこそ、非伝統的な創造性の街へ

シリコンバレーでの経験をお持ちですが、渋谷で育ったご経験もあります。渋谷をどのように捉えており、渋谷の未来に対する希望やビジョンはどのようなものでしょうか?

地元住民として、私は渋谷を多様性を抱き入れる街として見ています。80年代から90年代にかけてここで育った私は、特に原宿がグローバルなトレンドの温床となるのを目撃してきました。

渋谷は常に個性和多様性を日常の風景に自然に溶け込ませてきました。渋谷は誰もが自分を表現し、本物らしく生きられる場所です。

ハリウッドやシリコンバレーは、地名を超えた「価値観」のようなものだと思います。例えば、ムンバイをインドのハリウッド(『ボリウッド』)と呼ぶように、渋谷がどのような普遍的な概念を体現できるのか、考えています。

学生時代、私は国際関係学を学び、論文でジョセフ・ナイの「ソフトパワー」理論を研究しました。軍事力や外交政策が「ハードパワー」に該当する一方、ポップカルチャーやイノベーションを含む「ソフトパワー」は、国家の力を強化する要素です。私は、渋谷から生まれる創造性が日本のソフトパワーに貢献し、グローバルな舞台での文化的影響力とイノベーションを強化するのを願っています。

個人的に、渋谷は非伝統的な創造性の精神を体現していると感じます。パリのロマンチックな魅力に似ています。夜に渋谷を散策する経験は、私にとって本当に特別なものです。活気ある雰囲気の中、人々が楽しんだり、ただ過ごしたりする様子は、コミュニティ内に独特で言葉にできない一体感を育んでいます。渋谷の街を歩くたび、静けさと興奮が融合した独特の雰囲気に包まれます。

渋谷の未来を想像する時、その可能性は地理的な枠組みを超えます。多様性を抱きつつ、イノベーションと文化的影響力の核として進化するハブを育むこと。ハリウッドやシリコンバレーが体現する尊い価値観と共通するビジョンです。

UP by Shibuya Startup Supportは、日本と渋谷の独自の特性を活かし、グローバルな影響力を発揮するスタートアップを募集しています。

プログラムへの参加に興味がある方は、詳細情報を確認するため、彼らのウェブサイト(website)を訪問してください。

UP by Shibuya Startup Support: https://upshibuya.com/

ポートフォリオ企業について詳しく知る:https://shibuya-startup-support.jp/topics/shibuya-startups-announces-initial-lineup-of-11-companies.html

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