今回は、投資会社として始め、その後サイバーセキュリティとグリーンテクノロジー領域に拡大したAires Investment Holdingsの創業者であり、渋谷スタートアップビザホルダーのLim Meng Liang氏にインタビューを行いました。渋谷で起業した理由、日本での経験、そして将来のビジョンについて話を伺いました。
「 SusHi Tech Tokyo 2024」でのAires Investment Holdings チーム(写真:Aires Investment Holdings)
−自己紹介をお願いします。
多文化都市や金融の中心地として知られ、おいしい料理でも有名なシンガポール出身です。私は2014年にシンガポール国立大学(NUS)を応用数学の学位を取得し、卒業後すぐに起業の道を歩み始めました。最初は投資会社としてスタートし、現在はスタートアップとしてサイバーセキュリティやグリーンテクノロジー分野でのプロダクト開発を進めています。
私がテックスタートアップに興味を持ち始めたのはパンデミックの時期で、世界中がロックダウンで私達が家に閉じ込められていたときでした。中断していた大学での研究を再開し、さらにそれを発展させスタートアップの事業へとつなげました。しばらくして特許を申請し、最初の特許を日本、アメリカ、シンガポールで取得しました。
最近は、環境に優しい新しいタイプの2Dコード(バーコードやQRコードなど)の特許取得に向けて研究を行い、2Dコードのスキャン技術、特にインクの削減に取り組んでいます。自由時間には、旅行、音楽鑑賞、ピアノを弾くこと、ビデオゲームをすること、映画を観ることを楽しんでいます。
(写真:Aires A.Tより)
− 事業についてより詳しく教えてください。
2014年に投資会社として、Aires Investment Holdingsを設立しました。それから、サイバーセキュリティスタートアップのAires A.Tを2021年に設立し、シンガポール国立大学のインキュベーション施設であるBLOCK71のサイバーセキュリティに特化したインキュベーションプログラム、ICE71に採択され、Enterprise Singapore(シンガポールのスタートアップ支援機関)からStartup SG Tech Awardを受賞しました。
2023年には、Shibuya Startup Support(以下、SSS)の支援を受けて、日本法人のスタートアップであるAires Holdings G.Kを設立しました。そして2024年には、インク使用量を最大90%削減できる独自の2Dコードを基にしたグリーンテック製品「Eco Q Code」を発売しました。
このプロダクトは、SSSを通じて、日本最大級のスタートアップカンファレンスの一つである「SusHi Tech Tokyo 2024」にてブース出展し、日本の潜在顧客からの信頼と関心をより多く得ることができました。また、同カンファレンスでは、国内外のスタートアップと出会い、日本のスタートアップエコシステムについて知ることができたのも素晴らしかったです。
私の会社には、才能豊かで多様性溢れるスタッフとアドバイザーのチームがシンガポールと日本にいて、彼らのおかげでここまでやって来ることができました。ビジョンをしっかりと持つことが、才能あるチームメンバーを見つけることが出来た鍵だと思っていますが、才能あるメンバーを見つける事は必ずしも簡単な事では無いからです。
− SSSビザを申請するきっかけは何でしたか?
日本は世界第3位の経済大国であり、私達の会社が進出すべき重要な市場だと考えました。また、日本におけるサイバーセキュリティとグリーンテックの市場は非常に大きいです。特に気候変動の課題解決を目指すグリーンテックは、日本だけでなく世界中で今後も成長し続けると思います。また、日本には既に多くの大企業や潜在的な顧客が存在していたこともあり、彼らと協力できる可能性が大きいことも、ビザ申請を決める重要な要因でした。
− 日本でビジネスをしてみてどうですか?
日本でビジネスをすることは、挑戦的であると同時に刺激的で面白いです。日本で最初のビジネスミーティングの一つを今でも覚えています。それは非常にフォーマルで、シンガポールでのミーティングとは全く異なるものでした。日本ではボディランゲージやジェスチャーに非常に大きな重きを置きます。皆、非常に真剣で表情も中立的でした。独特の文化的環境ですが、それは実際に私がとても楽しんでいるものでもあります。最初はお辞儀をするのか握手をするのか、またそのタイミングもわからなかったことを覚えています!実際の経験を通じて、多くのことを学びました。
しばらくして、日本の方は実際にはとても親しみやすいことに気付きました。また、日本でのビジネスにはボディランゲージをマスターすることが必要であるため、シンガポールや他の国でビジネスミーティングを行う際に、ボディランゲージが上手になったと感じています。
− どんなことがチャレンジングでしたか?
私は言語が最大の課題だと思います。日本でのビジネスは一般的に日本語で行われ、ビジネス契約を含む、多くのビジネス文書を日本語で読んで理解する必要がありました。ビジネス文書にはGoogle翻訳を使用し、会議には通訳と一緒に参加するため、今のところうまくいっていると思います。また、日本でのビジネスにおいて日本語を学び続けることが重要だと感じています。
また、私にとって新しい言語を学ぶことはワクワクします。新しい言語を学ぶことの一番の利点は、より多くの人とコミュニケーションが取れるようになることだと思っています。日本には1億2500万人の人がいるので、日本語を習得すれば、食べ物を注文するだけでなく、ビジネス取引にも使えるようになり、突然1億2500万人の人々と話せるようになるという考え方が好きです。チャレンジングな事はさておき、日本でビジネスをすることはとてもエキサイティングです。新しい人々、斬新なアイデア、異なる視点に出会うことができ、これは私が個人的に楽しんでいる点です。
− 日本市場やスタートアップビザに興味のある方に、メッセージをお願いします!
日本は多くの大企業の拠点であり、アジアで最も重要なビジネス拠点の一つです。日本でビジネスを始めることを検討している人にとって、スタートアップビザは間違いなく重要になります。SSSのスタートアップコミュニティは素晴らしく、日本での起業の旅を始めるための素晴らしい場所です。SSSを通じて、SSSのスタッフだけでなく、多くのスタートアップ起業家と出会うことができました。また、参加できるイベントもたくさんあります。SSSと一緒に東京に素晴らしいエコシステムを築きましょう!
ここまで、インタビューの内容をご紹介しました。渋谷区のスタートアップエコシステムやスタートアップビザに興味のある方、ぜひご連絡ください。今後開催するイベントやセミナーはソーシャルメディアにて公開いたしますので、ぜひフォローをお願いいたします。
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