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Growth Hub 2026年前半開催レポート|YC、M&A、EXIT― 起業家・投資家との対話から考える日本のスタートアップ最前線
05.08.2026
EventReport

Growth Hub 2026年前半開催レポート|YC、M&A、EXIT― 起業家・投資家との対話から考える日本のスタートアップ最前線

Shibuya Startup Support(SSS)が開催するGrowth Hubは、日本で会社を設立した外国人起業家や投資家から、リアルな経験を直接聞けるラウンドテーブル形式のイベントです。投資家から期待されること、採用の実情、仕入れ先とのやり取りなど、外国人起業家が直面しやすいテーマを中心に、実践的な知見を共有しています。

一般的な講義形式とは異なり、Growth Hubは参加者同士が対話を交わすディスカッション形式で進行します。参加者の多くは、法規制・資金調達・採用・市場参入といった課題に向き合うプレシードからシードステージの国際的な起業家たちです。

2026年1月から6月にかけては計6回開催し、シリコンバレー発のアクセラレータープログラムY Combinator採択スタートアップの創業者や、日本の資本市場に精通した投資家、アメリカのAIユニコーン企業に買収された東京発スタートアップの創業者など、多彩なゲストを迎えました。SHIBUYA BRIDGEに50名を超える参加者が集まる回もあり、毎回活発な議論とネットワーキングが繰り広げられています。

本記事では、2026年前半に開催したGrowth Hubのハイライトを振り返ります。

写真(渋谷区)

第14回 「Y Combinator採択の舞台裏──Jinbaが語る、日本発スタートアップによるグローバルへの挑戦」 ゲスト:松森匠哉氏

第14回目Growth Hubでは、シリコンバレー発のアクセラレータープログラムY Combinator(以下、YC)採択スタートアップであるJinbaの創業者・松森匠哉氏を迎え、サンフランシスコのスタートアップ環境やY Combinator採択の舞台裏を語りました。

過去20年間でYCに採択された日本のスタートアップはわずか3社。松森氏は東京の機械学習(ML)分野で長年キャリアを積んだ後、YCに6度落選するも挑戦を続け、サンフランシスコへの移住を経て、7度目の挑戦で採択を勝ち取りました。

Jinbaが扱うのは、企業内のワークフローにAIを統合するプロダクトです。セッションでは、日本市場を最初の拠点とした理由についても議論され、日本のエンタープライズ業務はAIプロダクトを磨くための良質な学習データを得やすい環境であり、グローバル展開に向けた重要な土台となり得るという視点が共有されました。

またYCへの挑戦そのものだけでなく、その過程で何が変わったのかについても語られました。何度もの不採択を経て考え方やプロダクトの磨き方はどのように変化したのか、サンフランシスコという環境は開発スピードだけでなく起業家としての視座や野心にどのような影響を与えたのか。また、YCでは技術力以上に「どの課題を、なぜ解くのか」という問いがどれほど重視されるのかなど、世界を目指すスタートアップに求められる考え方について活発な議論が交わされました。

採用に関する話題では、AI時代のスタートアップ組織のあり方にも話が及びました。少数精鋭で事業を伸ばすチームでは、専門性だけでなく、高い当事者意識や挑戦を楽しめるマインドが重要なテーマとなるという点についても参加者の関心が集まりました。

(写真:渋谷区)

第15回 「日本のEXITはどう変わる?──IPO、バリュエーション、そしてセカンダリー市場のこれから」 ゲスト:Jordan Fisher氏

15回目の開催回では、J.P. Morgan出身でのちに日本でスタートアップを創業、複数ラウンドの資金調達を経験したJordan Fisher氏を迎え、日本の資本市場の構造についてを率直に議論しました。

セッションでは、日本のスタートアップが米国と比べて早期・小規模なIPOを選択する背景や、その構造的な要因について解説いただきました。特に、IPO自体が悪いわけではない一方で、上場準備に求められる組織づくりと、急成長を目指すために必要な組織づくりは必ずしも一致しないこと、また、VCファンドの償還期限なども相まって、創業者が本来より早いタイミングでIPOを目指さざるを得ないケースがあることなどが紹介されました。

また、日本では未上場株式を売買するセカンダリー市場が十分に発達していないことが、IPOに依存しやすい資本市場の構造につながっている点についても取り上げました。東証グロース市場の上場維持基準の見直しや、未公開株市場の制度整備など、現在進められている制度改革にも触れながら、日本のスタートアップエコシステムが次のステージへ進むために必要な環境について考えました。

今回は学生の参加者も多かったことから、後半は制度や資本市場に関する議論に加え、「世界を目指す起業家は何を基準に意思決定すべきか」といったテーマにも話題が広がりました。セッション後のネットワーキングでは、日本での起業や資金調達に関心を持つ学生たちがJordan氏を囲み、積極的に質問を投げかける姿が見られました。

(写真:渋谷区)

第16回 「創業17か月で大型買収へ──Opera TechがSierraと歩んだ軌跡」ゲスト:森川馨太氏

第16回では、エンタープライズAIスタートアップ「OPERA TECH」の創業者であり、創業から約17か月で米国AI企業SierraへのM&Aを実現した森川馨太氏をゲストに迎えました。

OPERA TECHは、日本のエンタープライズ企業向けにAIエージェントプロダクトを提供し、アメリカのAIデカコーン企業Sierraに買収されました。Sierraは累計6億3,000万ドル超を調達している、企業向けAIエージェント分野を代表するスタートアップの一つです。

セッションではまず、共同創業者との出会いから創業を決意した経緯をはじめ、日本企業との対話を重ねながら事業の方向性を見極め、大企業向けAIコンタクトセンター事業へと発展させていったプロセスを振り返りました。

また技術だけでなく顧客理解を起点に事業を磨いていくことの重要性に加え、組織づくりにおける徹底したコスト管理や創業初期に求める人材像についても議論が交わされ、参加者にとって急成長スタートアップの実践的な経営判断を学ぶ機会となりました。

(写真:渋谷区)

Growth Hubは、毎回テーマやゲストを変えながら、「日本でスタートアップを立ち上げること」「事業を成長させること」「次のステージへ進むこと」を、実際にその道を歩んできた起業家や投資家とフラットに語り合える場を目指しています。

2026年前半も、起業家や投資家、起業を目指す学生など多様な参加者が集まり、セッション後も活発なネットワーキングが続くなど、多くの交流が生まれました。今後も、日本で挑戦する起業家に役立つテーマを取り上げながら、Growth Hubを開催していく予定です。最新情報はShibuya Startup Supportのソーシャルメディアで発信していますので、ぜひフォローしてご覧ください。

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